ドラマ補遺-最終回

昨年末にドラマ化決定の連絡を受けてから半年、ついに最終回となりました。山下・堀北両氏の共演が決まり、さらには大御所山崎さんの出演、哀川さん、市川さん、加藤さんと豪華な顔ぶれが決まっていき、いったいどんなドラマになるのだろうと、原作者ながら興味津々でした。詐欺はバブル前後から増える一方で、被害額も増加しています。典型的な手口から独創的なものまで、様々な手法で多くのひとが騙されています。もし、それをエンターテインメントの形で伝えることができたら、ずっとそう思っていたところに漫画クロサギの話があり、それだけでも十分に嬉しいのに、よもやドラマになるとは思っていませんでした。なにより、雑誌に比して規模が大きくそれだけ制約も多いわけですから、犯罪をテーマにすること、さらには主役も犯罪者であるという特殊な点がネックになります。そこをクリアしてドラマ化してくれたTBSにはただ感謝です。

さて、最終回です。黒崎が詐欺師を喰う詐欺師として生きるようになったきっかけであり、最大の標的である御木本への接近が描かれました。御木本の元配下で詐欺師の春日は原作同様に、黒崎というよりも桂木や御木本によって潰されてしまいましたね。春日がやっていた詐欺はフランチャイズを装った詐欺です。バブル以降、リストラや早期退職でサラリーマンに起業がブームになりました。自分で商売をしたことのない人間にとって、ノウハウから品揃えまでしてくれるフランチャイズは開業するのに楽な道に見えます。しかし、誰でも簡単に開業できしかも儲かるのでしたら、フランチャイズそのものが成立しません。実際には研修期間も長く、場合によっては加盟できないこともあるのです。ところが、詐欺フランチャイズは金さえ払えば開業できます。そして、当然のごとく失敗するのですが、やめるまでに毎月の上納金を取られ続け、さらには契約違反で違約金を取られることになります。

ドラマの中に登場するフランチャイズはもちろん架空のものです。ですが、似たような手口のフランチャイズは多数あります。最初から加盟金・上納金が目当てだろうと思えるフランチャイズも珍しくありません。地域独占のはずなのに、同じ系列のコンビニがすぐそばに開店する、そんな矛盾した光景を大都市ではよく見かけます。もし、これから起業したい開業したいと思うのならば、少なくとも半年以上の独自調査をおすすめします。与えられたデータを信じるのだけはやめてください。データはいかようにも操作できます。

最終回は黒崎逮捕がクライマックスでした。大勢のエキストラが迫力を出していましたね。詐欺師しか騙さない男を逮捕するには、騙された詐欺師の証言が絶対に必要になります。その証言者が証言を翻したらどうなるでしょうか。送検すらできないかもしれません。検察は公判が維持できないような事件は受け付けません。警察の段階で釈放してしまうのが、官側としてはもっとも傷つかないことになります。新川の証言が決め手なわけですから、彼女が否定してしまえばどうにもなりません。

桂木が御木本を逃がすために黒崎を逮捕させ、御木本が逃げたら黒崎を釈放させる。御木本も黒崎も、桂木にとってはまだまだ利用価値がある、そういう判断なのでしょう。原作なのに「なのでしょう」というのは、原作では逮捕されたことがないからです。最終回は他のアイデアも考えられていましたが、逮捕という原作では扱っていないネタを敢えて提供させてもらいました。どう料理されるのかすごく楽しみでしたが、予想以上に良かったのではないでしょうか。ラストの明るい終わり方も、クロサギというどちらかというと重いドラマだけに私は気に入りました。21歳の主人公には、ああいう明るさも必要でしょう。

ドラマ開始と同時に始めたこの「ドラマ補遺」も今回が最後になります。読んでくださった方、ありがとうございました。

最後にあらためて、ドラマのスタッフ・キャストのみなさんに深く感謝いたします。 いつかまたお世話になる日がやってくることを願っています。

漫画クロサギはこれからも続きます。ドラマから興味をもってくださった皆さんの期待を裏切らない、より面白い話が次々に登場します。ぜひ、読んでください。


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